ナレッジベース
ラボ用エバポレーターは、分析用調製試料から試料中の溶媒を蒸気に変換することで、固体または液体の溶質を分離するのに利用されます。ラボ用エバポレーターは、熱、運動、気体、減圧、またはこれらを2つ以上組み合あわせた様々な手法により、蒸発プロセスを加速させます。エバポレーターは、特に製薬、環境、食品/飲料、学術、および医学分野において、多くのラボで頻用される主要機器です。溶媒除去の各方法は、ある種の応用に対して理想的です。特に需要のあるラボ用エバポレーターと推奨用途に関するガイドを以下に示します。
窒素ブローダウン式溶媒除去は、加熱と緩徐な吹付け技術を併用した、広く利用されている試料濃縮方法です。窒素エバポレーターは、試料の溶媒に吹付ける窒素または圧縮空気の定常気流を維持します。一定のガス気流は、試料の表面で渦運動を生じながら、いずれの蒸気も試料の溶媒に戻る事を防いで、試料の真上の蒸気圧を低下させます。さらに蒸発プロセスのスピードをあげる為に、窒素エバポレーターは、ヒートブロック、ウォーターバス、またはドライビーズバスなどの熱源と共に使用されることが多いです。
窒素ブローダウン式エバポレーターは、多くの応用に適合できるように、様々な機種や試料ポジションの数を取り揃えています。この種の機器は、蒸発時間が迅速かつ効率的なので、数多くの少量試料の溶媒除去に理想的です。10mLの試料の溶媒除去に要する平均時間は、約20~30分間です。窒素エバポレーターは、100 mLを超える大量の試料または高沸点を有する溶媒の場合、溶媒除去に要する時間が長くなるので、推奨されません。
o 窒素源
ロータリー式溶媒除去は、回転、熱、そして多くの場合減圧を組み合わせた、大変頻用される試料濃縮法です。ロータリーエバポレーター(「rotovaps (ロトバップス)」とも呼ばれる)は、加熱したウォーターバスに入れたフラスコを回転して、溶媒をフラスコの内部で薄膜として分配し液体の表面積を増やします。溶媒の蒸発が起こると、溶媒の蒸気は水またはドライアイスの濃縮器に移動し、回収フラスコ中に滴り落ちます。こうして溶媒は留去され、回転フラスコ中には濃縮物が残ります。ロータリーエバポレーターの場合、溶媒除去のプロセスのスピードを上げるため、真空ポンプを併用する場合も多いです。真空ポンプの利用により、使用されている液体の蒸気圧よりも低くなるまで、液体で満たされたフラスコ内の圧力は低下します。これにより溶媒は通常よりも低い温度で沸騰し、熱源の必要性を減らしたり無くすのです。回転と減圧の併用で、効率性を維持しつつ溶媒除去のプロセスのスピードを上げることが出来るのです。
ロータリーエバポレーターは熱変性しやすい分析種を取扱う場合に理想的です。ロータリーエバポレーターの場合、熱を使用することはできますが、蒸発環境の減圧と溶媒の表面積の増加により、加熱は任意とすることができます。ロータリーエバポレーターは、フラスコの半分以下を満たす大量試料の濃縮に利用するのがベストです。ほとんどの機種が50mL~4Lのサイズのフラスコに対応しているので、ロータリーエバポレーターの場合に推奨される試料サイズは25mL~2Lとなります。この推奨試料サイズの場合に溶媒除去に要する平均時間は、5~20分です。
o 冷却装置
o 真空ポンプ
遠心式溶媒除去の場合、真空ポンプと溶媒濃縮器が組み合わさった遠心チャンバーを使用します。試料を真空ポンプに接続されたチャンバー内に入れます。真空ポンプは、遠心チャンバー内を減圧状態にすると同時に試料中の溶媒の沸点を下げます。同装置には、チャンバーを回転させて溶媒内で圧力勾配を生じさせる遠心ローターも含まれています。この圧力勾配により、試料は上部から底に沸騰していき、溶媒の突沸(「突沸」とは均一溶媒が過熱状態となって試料管やバイアルから噴出すことを意味します)が起こる事を防ぎます。このプロセスが継続するにつれ、溶媒の蒸気が溶媒濃縮器に移動し、ここで溶媒は留去・回収されます。そして、遠心チャンバー内の遠心管には濃縮物のみが残るのです。
遠心エバポレーターの場合、適用できる試料容積の範囲が広く、少量試料の大きなバッチで溶媒除去を一度で実施する場合に理想的です。ほとんどの遠心エバポレーターは、1~50mLの試料サイズに対応しています。10mLの試料の溶媒除去に要する平均時間は、使用している溶媒の種類によって約45分~3時間の範囲にあります。真空ポンプが過熱の必要性を減らしたり無くすので、熱変性しやすい溶媒を取扱う場合にも理想的です。遠心エバポレーターの場合、試料のバランスを保ち、遠心力で遠心管が壊れないようにするため、適切な遠心管を使用することが、特に有害な溶媒を取扱う場合に大変重要です。
o 真空ポンプ
o 冷却トラップ
Kuderna-Danish フラスコを用いる溶媒濃縮は、濃縮中に半揮発性分析種を保持するために広く利用されている方法で、留去した溶媒を回収するための溶媒回収用のガラス器具を組み合わせることができます。このプロセスは溶媒のフラスコをその沸点まで過熱することから始まります。溶媒の蒸気がスナイダー蒸留塔(中空のガラス球を内部に含むガラス器具)内で還流します。溶媒の蒸気がスナイダー蒸留塔まで移動するにつれ、蒸留塔内部のガラス球で濃縮・蒸発し、半揮発性の分析種の保持率を高めます。高揮発性溶媒の蒸気は濃縮器まで上昇していき、低揮発性溶媒の蒸気は沸騰しているフラスコに戻ります。このプロセスは、すべてまたはほとんどの溶媒蒸気がスナイダー蒸留塔を通過し、環境中またはドラフトチャンバー中に出ていくまで、何度も繰り返し続けます。その後、濃縮された分析種は沸騰フラスコの底に残ります。Kuderna-Danish 法による装置の組立てには、溶媒の回収にホプキンス濃縮器を任意で含む場合もあります。
Kuderna-Danish フラスコを用いる溶媒除去は、半揮発性の分析種を取扱う場合に強く推奨されます。スナイダー蒸留塔の利用と濃縮の繰り返しにより、これらの分析種をより揮発性の高い溶媒から高い収率で回収することができます。Kuderna-Danish フラスコは、通常250mL~1Lの範囲のサイズであり、容量の40~60%までしか満たすことができません。従って、KD 溶媒除去の場合に推奨される試料サイズは、およそ50mL~500mLとなります。200mL の試料の溶媒除去に要する平均時間は、10~15分です。KDフラスコで溶媒除去する場合の制約は、濃縮の終点を精密に制御することが大変難しい事です(例えば、正確に1mLで終了させたい場合など)。終点を精密に制御する必要がある場合、濃縮管をブローダウン式エバポレーターまたは少量の溶媒除去装置に移して、濃縮を最終的に制御下におくことが推奨されます。
o なし
フリーズドライまたはリオフィライゼーションとして知られる凍結乾燥は、大変頻繁に利用される溶媒除去の方法で、繊細な試料に対して採用される最も安全な溶媒除去手法の1つとみなされています。このプロセスは、低真空ポンプで完全に凍結した試料を得ることから始まります。真空ポンプにより、溶媒の三重点より十分に低くなるまで、試料管またはバイアル内を減圧します。三重点は、その物質の固相、液相、気相が共存する圧力と温度です。その後、緩やかに加熱され、試料は凍結した溶媒を液体化させずに直接蒸気に変えます。このプロセスを「昇華」と呼びます。溶媒除去プロセスのスピードを上げるために試料の加熱を継続すると、溶媒は濃縮器に回収され、濃縮物が残ります。
凍結乾燥の場合、最小限の加熱と減圧を行うので、突沸と熱による試料損傷という他の溶媒除去法における主な2つの問題を避けることが出来ます。加熱と圧力を大変正確に制御できるので、最も安全な手法の1つとなっています。このような理由で凍結乾燥は、繊細な試料、特に熱変性しやすい試料に理想的な方法です。ほとんどの機種が50mL~4Lのサイズのフラスコに対応しているので、ロータリーエバポレーターの場合に推奨される試料サイズは25mL~2Lとなります。この推奨試料サイズの場合に溶媒除去に要する平均時間は、5~20分です。1Lを超える試料の場合、溶媒除去にかかる時間はさらに長くなります。
o 真空ポンプ
弊社は様々なラボにブローダウン式エバポレーターと抽出器を提供して、試料調製のニーズを満たしています。今すぐ弊社にお問合せ下さい。弊社のエキスパートがお手伝いさせて頂きます。
266 River Road West Berlin, MA 01503-1699 USA
日本 (オレンジサイエンス): 050-5433-8000
Organomation 米国オフィス: +1-978-838-7300
©2024 Organomation
会社概要
私たちのアプローチ
ポリシー